コロナウィルスの無症状拡散は、人間の「コントロール幻想」のせいです。

現在「無症状拡散」というものが話題になっています。
若者を中心とした、コロナウィルスにかかっても、体力があるがゆえに症状がほぼなく、そのため何も自覚しないまま色々なところに行ってウィルス感染を広げてしまう状態を言います。

この行動の原因は、「かかっていてもすら」疑わない「自分はかからない、自分だけは大丈夫」という意識ではないでしょうか。

ここで心理学では「コントロール幻想」というものがあります。

「自分はすべてをコントロールできる」と思い込む幻想のことを言います。

「自分だけは病気にかからない!」
「自分だけは事故にあわない!」
「私だけは犯罪に巻き込まれることはない!」

というような発想ですね。
幻想というより妄想かもしれません。

よって「自分はコロナにかからない」と思って出歩く人も、この思考が働いていると考えられます。

さらに言うなら、宝くじに並んでる人も、同様の思考をしています。

「宝くじなんて確率的に当たるわけがない」といくら言われても、

「それでも自分だけは当たる気がする」など考えるからこそ購入するわけです。
これもコントロール幻想です。

そう考えると「良くない」面ばかりあるように思えます。
しかしこの幻想がまったくないと、

「交通事故にあうかもしれないから外出できない」とか
「うつ病になるかもしれないから仕事ができない」なんて思ってしまい、外に一歩も出られない…なんてこともあります。

そう考えると、多かれ少なかれ、人はこの幻想を持っているということになるわけですね。

さらにこの幻想がないと

「あの大学は難関だけど、自分は何とかしたら受かるかもしれない」とか
「難しい発明だけど、自分が頑張ればうまくできるかもしれない」

なんてチャレンジ精神すらも湧いてきません。

かのエジソン先生も「いつか必ず電灯にふさわしい材料を発見できる」という、ある意味根拠のない自信(=コントロール幻想)を持ち続けていたからこそ、あの快挙を成し遂げられたのかもしれません。

いずれにしても、コントロール幻想は良い面も悪い面もありますが、ただ今回の無症状拡散においては、悪い面が先に立ってしまっているようです。

個人的には「コロナウィルスの治療薬や予防薬は必ず開発できる!」と多くの研究者の方にさらにコントロール幻想を強めていただき、いつか明るい未来が来るという幻想を抱きながら、このコラムを終えたいと思います。

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。